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モロッコ滞在記

 昨年の夏のモロッコ滞在中のメモが出てきたので記録程度に。

 

 初日。カサブランカ着。長いフライトだった。カサブランカスペイン語だが、アラビヤ語ではダールルバイダーウ(الدار البيضاء)という。どちらも「白い家」という意味。日差しは強いが、湿度はとても低い。猛暑を覚悟していた分、拍子抜けした。

 ハサン2世モスクを訪問した。

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 ミナレットが四角い。屋根はドーム型ではなく、日本家屋さながらの瓦が乗っかった屋根。瓦にしか見えなくてびっくり。薄めの緑色が使われていて、目に優しい。これがモロッコの色らしい。

 ホテルに到着すると、異国情緒に溢れていた。ホテルのロビーでモロッコ風ミントティーが出される。めちゃくちゃ熱い。熱湯か?けど美味しい。小さなガラス製のカップを口に運ぶと、ミントの豊かな香りが立ち、飲む前から「美味しい!!!」と思ってしまう。ホテルは同期と2人部屋で、天蓋付きのベッドが備え付けられていた。幸いにもわたしたちの部屋はお湯が出たので熱いシャワーを浴びることができた。男の子たちの部屋はお湯が出なかったらしいので、可哀想だった。なんかごめんね。

 翌日。ムハンマディーヤという小さな街へ行き、日本語を勉強している学生たちと交流活動を行った。日本語を勉強するモチベーションは、やはりアニメや漫画を日本語で見たり読んだりしたいかららしい。格闘漫画が好きだと言っている男の子がいたので、刃牙の話を振ると「刃牙は嫌いだ」と言われた。なんでだよ!刃牙は面白いでしょ!?明るくて気さくで良い学生たちだった。

 その後、ハサンさんの実家へ向かった。びっくりするほど何もない田舎。だだっ広い土地にぽつんと石造りの家が建っていた。これがモロッコのど田舎か〜って感動した。風通しの良い家だった。暑いアフリカ大陸で生活する上では、こういう家の構造になるんだなとしみじみ。モロッカンサラダとホブズとクスクスを食べた。

 果物もいただいた。果物がめちゃくちゃ甘くて美味しい。あれほど美味しい無花果はなかなか日本で食べられない。

 

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その後ラバトという大きな都市へ向かい、ホテルリバーブで夜を過ごした。ありがたいことに1人部屋だった。お湯も出た。最高。

 3日目。ラバトの学生たちと観光をした。まず、王様のお墓を見にいった。デカいしめちゃくちゃ豪華。壁の模様が綺麗だと言うと、مصنوع باليدと言われた。すべてハンドメイドだそう。そりゃそうだろうけど、改めて聞くとすごい。

 っていうか学生たちが早口すぎる。早口すぎて聞き取るのが大変。自分のリスニング能力の欠如を痛感したが、この早口な話し方はモロッコ方言特有らしい。というのも、モロッコ方言では長母音を抜いて、単語の第一音をスクーン(子音のみ)で発音する傾向があるので、どうも早口に聞こえてしまう。なるほど道理で聞き取りづらい訳だ。

 その後、ミッションインポッシブルでトムクルーズBMWを爆走させていたあの旧市街?へ行った。迷路みたいだった。白と青で統一された道は綺麗だった。シャウエンではないけど似てる。

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 野良猫がマジで多い。そこらじゅう猫だらけ。かわいい。あと、スペイン風の庭園を見た。モロッコは庭園が多い。それから、広場や公園も多い。花々が咲き乱れ、噴水があり、そこで人々が憩っている。美しい国だなーーーーー。

 ラバトからシャフシャウエンへ向かった。有名な青い街。

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でも、シャフシャウエンは麻薬取引も多く、治安が悪いとのこと。夜は活気付いていて、人間で溢れている。深夜0時を過ぎても人々は広場に集まって、音楽を鳴らし、和気藹々と喋っている。ホテルは狭い。狭いけどかわいい調度品があるし、気さくなお兄ちゃんが対応してくれたので快適だった。ちなみにわたしの部屋はお湯が出た。すごい。運がいい。

 4日目。気持ちの良い朝すぎる。シャフシャウエンのカフェで朝食をとった。蜂蜜に蜜蜂が集ってきた。自産自消かよ。まぁ良いよ君たちが作ったんだし、お食べ!って思って、思う存分に蜂蜜を吸わせた。のんびりしたモロッコで3日間を過ごすとなんだか寛容になれる気がする。カフェに座ってメニューが運ばれてくるまで20分経ってもまぁアフリカだししょうがないなって諦めがつく。シャフシャウエンは山間部にある街なので、そこの住民たちは山の人と呼ばれるらしい。

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 朝食をとったあとは、しばし自由時間が設けられ、それぞれが買い物をしに行った。アラビヤ語で話すと喜ばれる。上手だと褒めてもらえる。嬉しい。アラビヤ語話すのマジで楽しい。ポストカードが欲しかったんだけど、大体店頭に置いてあるものは日焼けしてボロボロで商品になってなかった。売る気なしかよ。ここは割と観光地なので、日本語で客引きしてくるお兄ちゃんたちがたくさんいる。「安心してください、履いてますよ」ってギャグを知ってた。それを言えばウケるって思ってる。誰が教え込んでるんだよ。チョロい女だから日本から来たの?可愛いねって言われてニコニコした。

 後輩が、おみやげ屋の店主に「集合時間に間に合わないから急いでほしい」と告げたところ、「ここはアフリカだから集合時間なんか気にしないほうがいい」と返されたそう。なるほど、アフリカはすごい。

 シャフシャウエンを出てフェズへ移動。フェズはヤバい。1200年前からある古い街なんだけど、とにかく迷宮っていうかダンジョンっぽい。

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 わたしはゲームのことのよくわかんないけど、多分そういうゲームありそう。旧家を改造したホテルへ。女子7人部屋。人生初めての2段ベッド。狭すぎて笑ったけど、女子寮みたいで正直ワクワクした。この日もお湯が出た。ラッキー。夜ご飯のあと、朝の4時半まで翌日に備えてアラビヤ語の原稿を作成。鶏がすぐ近くで鳴きちらかしてる。みんなゾンビみたいな顔してる。2時間寝たら起きなきゃ。


 フェズ2日目。シディ・ムハンマド・ビン・アブドゥッラー大学で交流活動を行った。ここの学生たちは本当によくできた学生たちで、頭があがらなかった。賢い上に真面目で道徳心に溢れていて尚且つ育ちがいい。モロッコでは、小学校の頃からフランス語教育が行われており、大学の授業はほぼフランス語で行われる。まれに英語。友人同士や家族で話す時はモロッコ方言のアラビヤ語。だから、モロッコ人にとって正則アラビヤ語(標準語みたいなもの)を話す機会はほぼないため、正則アラビヤ語が話せなかったりする。しかし、ここのフェズの学生たちはきちんと正則アラビヤ語が喋れる。教養がある印。というのも、聖典クルアーンやその他の本、アルジャジーラなどのニュースはすべてこの正則アラビヤ語で書かれているから。あとね、みんな日本語が上手い。

 隣の席に座ったアブドゥ君と仲良くなった。アイドルみたいな顔をしていて人懐っこい。彼の日本語はフォーマルで自然だったので、どこで勉強しているのか聞いてみた。とにかく日本人と喋り、日本のバラエティーを見ているらしい。ガキ使が好きらしい。浜田のモノマネをしていた。結構上手くて笑う。山崎邦正が好きだと言っていたので仲良くなった。アニメは独特な言葉遣いなので参考にしないとこのこと。なるほど。確かに。アニメを見ている学生は、女の子なのに「俺」とか「すげぇ!」とか言うし。

 その後モロッコの学生たちとアミナさんの実家にお邪魔した。お母さんもお姉さんも弟さんもみんな美形だった。あの家族にしてアミナさんありって感じ。アミナさんの手作りの茄子のお料理が美味しかった。それから鶏肉と魚のパステリャを食べた。甘いパイってかんじ。

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 フェズ3日目。フェズは本当にいい街だ。イドリースさんの桜日本語学校で交流活動を行った。イドリースさんはかなりスパルタで教えているようで、日本語学習歴3ヶ月の子がペラペラ日本語を喋っていたのが衝撃的だった。すごい。漫画や本がたくさん置いてあった。範馬刃牙もあった。お土産で何か漫画を持ってくれば良かったなぁ。残念。それからみんなで旧市街を散策した。皮なめし工場を見に行った。ちょっと臭いのでミントを鼻に当てながら歩く。屋上に着くと眼下に広がるのは染色の桶?の数々。

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うわ〜〜すご〜いとながめていると、イドリースさんの弟のザッカリーヤくんが「いいことを思いつきました。」というので、「何?」と聞いたら、「ここから一緒に飛び降りましょう。そうすれば一緒に死ねます。美しいですね」と話しかけてきた。嫌だよ。拗らせすぎでしょ。わたしは百合の花に囲まれて死にたいよ。

 それから昨日の学生たちと合流して、旧市街を再び散策。向こうの男の子たちがわたしを案内したいと言ってくれたので、案内してもらった。フェズはすごい。迷宮みたいだ。雑多な商品が所狭しと並び、香辛料、布、金細工、革製品、陶器、肉、お菓子、果物など様々なお店が軒を連ねる。それらのむせ返るような匂いが鼻をつき、異国情緒を掻き立てる。

 旧市街を散策したあとは、フェズの門を見下ろせるカフェに入って、マグリブを見ながらお茶をした。アブドゥくんとザッカリーヤくんと市原隼人に似てる子が同じテーブルに座ってきた。賑やかな男の子たち。ザッカリーヤくんの提案はいい考えだとは思うけど。早く日本に来ればいいのに。ずっと可愛がってもらってた、というか、いじめられてた。ハイファは実はみんな聞かないらしい。意外。

 翌日。名残惜しいけど、フェズを離れる。アルジェリアとの国境ギリギリにあるメルズーガという街へ。バスで14時間程度かかった。とにかく遠い。特に記憶がない。あ、道中のレストランのハリラが美味しかった。パクチーとセロリが、火照った身体にガツンと効いた。ホテルに着いたら、ラブホさながらの天蓋付きのダブルベッドだった。

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ちゃんなつと2人で寝た。ちょっとときめいた。ごめん。あと中庭にプールがある。

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夜中にこっそりホテルを抜け出してホテルの屋上へ行くと、プラネタリウムばりの満天の星空が広がっていた。文字通り、満点の星空。生きててよかった。流れ星がいくつか落ちていくのを眺めながら感傷に浸ってしまった。ちなみにホテルの従業員は毎日屋上で星空を見ながら寝てる。超羨ましい。

 メルズーガ2日目。日の出を見るために早起きをして、砂漠に出かける。夜明け前は涼しく、歩きやすい。砂漠の砂はサラサラとしていて冷たく気持ちがいい。裸足でペタペタと歩いた。1時間ほどかかって、小高い山の頂上に向かった。が、運動不足のオタクには登頂は厳しかったので途中で諦めた。みんなはわたしを置いてどんどん先に進んだ。バイタリティありすぎでしょ。そういえば2年前にヨルダンのペトラ遺跡行った時も置いてかれたな、とか思い出してた。ひろーーーい砂漠にゴロンと寝転がってだだっ広い空を眺めていると、心が澄み渡って最高の気分だった。

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安部公房の「砂の女」を思い出した。それから稲垣足穂の「一千一秒物語」に収録されている「黄漠奇譚」あれ読みたいな。持って来ればよかった。けど彼氏の家に置いたままだった気がする。帰国したら読もう。ホテルに戻って二度寝した。怠惰の極み。リゾート満喫。これはなんの研修なんだ???と思ったが、さすがにみんな危機感を持ち始めてアラビヤ語のスピーチの練習を始めた。わたしも。

 次の日。アガーディールという港町に向かう。メルズーガから17時間かけた。道中バスが段差に乗り上げるというハプニングがあったが、激アルハムドゥリッラー状態。モロッコにいるからこそ、何時間でも待ってられる。すごい寛容になれる。深夜2時にホテルに到着した。アガーディールはかなり西洋的なリゾート地だ。異国情緒の欠片もないが、その清潔感にはほっとさせられた。ホテルの部屋が広い。ここでゆっくりしたい...のに、滞在時間5時間。もったいなさすぎる。

 アガーディールにある語学学校の学生と話した。フランス語と方言ばっかり使ってるから、あまりアラビヤ語が上手じゃない。しかも日本語も上手じゃない。会話に苦労した。基本的に大学生は毎日終日大学で勉強してて忙しい。だからアルバイトをする時間がない。アルバイトは大抵フルタイムなので、無理。アルバイトをすると不真面目な学生だと思われて反感を買うらしい。親からもするなと言われるんだと。まあマクドナルドとかでアルバイトしてる人もいるけど。アルバイトしてる日本人がちょっと羨ましいんだって。

 モロッコ滞在も終盤。マラケシュという街に着いた。深夜なのに若者たちで賑わっている。歌舞伎町みたいなテンションだ。

 明るくなって外に出ると、都市の広場はなんとも異国情緒に溢れて蠱惑的だった。タロット占いをしている怪しい老婆、笛の音で3匹の黒い大蛇を自由に操るおじさん、擦り切れた衣服を見に纏って物乞いをする美少女、台車に山ほど積まれた無花果、棗椰子、西瓜、葡萄、桃、サボテン等色とりどりの果物。それら全部がガラクタの入った箱をばさってひっくり返したみたいにごちゃまぜになっててサイコー。

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蛇触らせてもらったよ。かわいかった。太くて重そうなやつを無理やり首に巻かれてた男の子かわいそうだったけど。

 そういえば生まれて初めてサボテンの実を食べた。ほんのり甘くて、水分が多くて、この暑い国では最高のフルーツ。「インド」を意味する「ヒンディーヤ」って名前で呼ばれてるのはなんでなんだろうな。

 ここでできた友達はみんないい子だった。少年みたいできらきらしてた。最高。

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 モロッコは、カサブランカやフェズ、ラバト、メルズーガ、アガーディール、マラケシュ等々、都市によって全く雰囲気が異なるので、時間をかけて色んな都市を回った方が良い。2週間弱の滞在だったけど、それでも時間が足りなかった。また行こ。